ジョーズでもおなじみのホホジロザメ(ホワイトシャーク)。そして、キラーホエールの名を持つシャチ。
この2匹が海で出会った場合、いったいどちらが捕食者で、どちらが被捕食者になるのでしょうか?

まずはその体格から比べてみましょう。
シャチはイルカの仲間で最大の種。オスは6m~7m近くにもなり、メスでも5~6mの巨大な種です。最大は10m近いものが確認されています。一方のホホジロサメは魚類に分類される生き物で、最大種は11mもの巨大な個体も報告例がありますが、基本は体長は5mほど。体重もサメはシャチの1/3ほどしかありません。体格差で言うと、シャチに軍杯が上がりそうです。
捕食に関してみてみましょう。シャチもサメも同様に動物食、オットセイ、アシカ、ペンギンなど大型の獲物を仕留めます。
ただし、シャチがしとめるのは加えてクジラ。自分より大きな固体であっても、集団での賢い狩りによってしとめるのです。その賢い狩りの方法とは、クジラの上を一頭が泳ぎ、周りを集団で取り囲み、クジラの呼吸する術を無くすこと。こういった賢い狩り手法で大型の相手も捕食することが出来るのです。また、泳ぐ速度が時速60-70kmにもなるスピードにも自信があるシャチ。
一方サメはあくまで魚類。シャチのような知能的なプレーは見られません。軟骨魚類という分類にあたる生き物はそこまで泳ぎは速くなく、ホホジロザメも時速は30kmほど。遅くは無いもののシャチと比べると半分です。追いかけて獲物を狩るというよりは奇襲攻撃のようなスタイルを得意としています。しかし、知能が低いというころではなく、魚類のなかでは社会性と言う意味では非常に高い知能を持っており、獲物を分け合うような様子も見られています。
なぜ、サメのほうが「恐怖」のイメージがあるか…というと、それはもしかすると人への危害が影響しているのかもしれません。ジョーズの話も実際にあるビーチでのサメの襲来事件が元になっているのですが、人間がサメに襲われる事件は後を絶ちません。サーフィン中にサメに襲われ片腕をなくした少女の映画などもありましたが、もちろんあれも実話。日本でも愛知県、愛媛県でそれぞれで死亡事故が発生しています。
一方シャチは、水族館での事故例はあるものの、ある意味、野生を離れた特殊環境。しかも捕食を目的とはしていません。シャチは基本人間を捕食することはないと言われています。ただし、じゃれるような行為、遊びが、その巨大な体ゆえに死亡事故に繋がったり、怪我に繋がっているようです。
ここまで書くとわかりますが、シャチとサメ、似たようなレベルと思われていることが多いですが実は圧倒的にシャチが強いのです。
実際、子連れのシャチなどはサメを見ると子どもを守る目的で攻撃をしたりします。内蔵が骨に覆われていないサメは、その衝突の勢いで即死する場合もあるそうです。とはいえ、シャチがサメを捕食することは、リスクがあるので滅多には行いません。つまり、この映像は大変貴重な映像ということになるでしょう。
この映像では、ホエールウォッチングに来た船の下にサメが集まり、それをさらにシャチが捕食しにくるという光景が映っています。毎日海に出ている船員でさえ、こんなシーンは見たことがなかったようです。