ペットとなった動物がもう1度野生に帰るとき、1番のネックは「獲物を狩ること」でしょう。出てくる食事を食べていたペットから野生に帰り逞しく成長したライオンの話を紹介します。逞しく野生に帰りつつも、飼い主のことを決して忘れなかった姿…ハンカチ必須です。
ペットの定義は、愛玩を目的として飼育される動物。そのペットの歴史は古く、さかのぼること3万年も前の話です。
オオカミは人間の残飯をあさるようになり、7,000~30,000年前くらいから人間と共存をするようになり、犬になったといわれています。
この頃は「愛玩」ではなく、危険を知らせる役目や、ボディガードといった役割りが大きかったのですが、何世代も人間と暮らすうちに、目は優しくなり、耳は丸くなり、いわゆるペット化していきました。
こちらはオオカミの血75%、残りが犬のハイブリット犬です。この段階では見た目もオオカミ、そして性格も独立心が強いオオカミの性格を持っています。
このような外的な変化はもちろん、最大の変化は消化器官にあります。雑食の人間と、肉食のオオカミではそもそも食べものが違いますよね。人の食べるデンプンなどをオオカミは消化できません。しかし今の犬を見ると、消化が可能な体のつくりをしているそうです。これは今まで判明していなかったことなのですが、2013年の英科学誌ネイチャー(Nature)にそういった発表がされました。
こういった、徐々に変化をしてペット化してきた犬やネコのような動物のほかに、人間の力の向上により、急にペット化されたような生き物も沢山います。その1つがライオン。
まさかと思いますが、イギリスのデパートのペットコーナーではライオンが売られていたことがあったのです。もちろんデパートですので、その場で衝動買いをすることも可能。
ちなみに日本でもいちよう飼うことは可能のようです…日本の狭い住宅事情では飼える人はなかなかいなそうですが。(もちろん飼育には許可が必要です。)
さて、話を戻してイギリスのライオンのお話です。
1969年のロンドン。ジョンとアンソニーという2人のイギリス人が小さなデパートで1匹の子ライオンに出会います。あまりの可愛さに、2人の経営するアンティークショップでライオンを飼うことになります。クリスチャンと名づけられたその子ライオンは、2人の飼い主とじゃれあい、遊び、愛情をたっぷり貰いすくすくと成長していきます。飼い主に飛び掛る姿は見ているとハラハラしてしまいますが、飼い主はまったく気にする様子はありません。
そんなクリスチャンですが、飼い主達はライオンとしての本当の幸せを思い、野生に返すという選択をします。
元々ペットとして飼っていた生き物を野生に帰すというのは大変なことです。保護動物なんかは、しっかり狩りの訓練をしてから野生に返されますよね。
このクリスチャンも相当な苦労をしたことでしょう。
1年後、飼い主たちが様子を見に来たときに目にしたのは、あまりに立派に成長したクリスチャンの姿でした…
この飼い主を無責任だという声も妥当な意見…しかし、こんなに信頼し合っている様子を見ると、思わず目頭が熱くなります。